本来の温泉療法について
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古来、温泉は「癒し」や「安らぎ」、「楽しみ」に浸かるものではなかった!!??

 日本では、有史以来、古代より、地中から湧き出る暖かい湯は、天与の恵みとして珍重され、入浴しながら病気を治したり、健康回復をできる、まさに「療養」の場として人々の信仰を集め、賑わってきました。当梅ヶ島温泉も、神代の時代より伝説や民話には事欠かなく、さらに戦国時代、江戸時代、そして昭和時代と、長寿と健康を願う療養、修養の場として、人々の信仰とご支持を頂いてきました。

 但し、当時の湯治は現在の「癒し」とは程遠い、壮絶な状況だったようです。医療の発達していない昔は、自分の食糧を担ぎ、険しい山道を病身の身で丸一日以上必死に歩き、まさに命がけでこの梅ヶ島までやってきたのです。奥深い山々と厳しい自然環境、そしてこんこんと湧き出る温泉に人々は畏敬の念を抱き、自身の生と死をギリギリのところで見つめ直しました。
そのような山岳信仰の修養の「霊場」に入る前の「清めの湯」として温泉は存在していました。そしてその霊験により人の病を治す温泉に「神秘」を感じていたのです。
 古い温泉には、よく昔から続く神社が湯元あたりにあり、さまざまな伝説や伝承が伝わっているのはそのためなのです。決して観光客を集めるためのお祭りのために存在するわけではありません。

 本来「癒し、療養」とは上記のような、民俗信仰がらみで真面目で地味なものだったはずですが、近年の温泉ブームで、団体旅行や宴会と結びつき、更に家族旅行の発達でレジャーのひとつになり、日本人の温泉好きと相まって、未曾有の温泉開発が行われてきました。温泉旅行が観光化し、「楽しみ」の場となってしまったのです。

 更に、ストレスの多い都会の生活をしている人にとっては、気の休まる機会がますます狭められ、「ちょっとした息抜きやくつろぎ」を「療養、癒し」と呼ぶようになってしまった感があります。「癒し系の顔」や「癒しグッズ」など、本来の修養や療養の意味合いではなく、より気軽に「ほっとすること」と同義語のように使われるようになってきたのです。
「少しほっとすること」を「癒し」と感じてしまう人々によって支えられている今の気軽な「温泉ブーム」は、果たして本物の温泉療法と言えるでしょうか。車を長時間飛ばして宿に慌しく着き、カニやご馳走をたらふく食べ、熱い湯にザブンと入り一泊してまた慌しく出発するような温泉療法は、今後も未来永劫、果たして人々によって支持され続けるのか大いに疑問に思います。
ちょっと息抜きすることもままならない現代人こそ、昔ながらの山岳信仰とワンセットになった本格的な精神修養としての温泉療法が必要なのではないでしょうか


温泉表示問題について(本物の温泉とは)


ところで、最近の温泉ブームを支えている新規の入浴施設は、果たして真の癒しの場となっているのでしょうか。温度が25℃以上で何かの成分が検出されれば、「温泉」と名乗れてしまう現在、日本じゅう至る所に公衆浴場ができ、現在もすごい勢いで増えているようです。日本国土の大部分では、何千メートルかボウリングすれば水温は簡単に25℃を越えますし、また、悪質な業者は、温泉法には温泉の濃度の制限がないことをいいことに、どこかで手に入れた温泉をコップ一杯入れて「温泉」ですと名乗ったりするなど、言ってみれば偽の温泉が横行している無法地帯というのが、現在の温泉業界なのです。湧出量が少ないと、何百人もの人が入ろうとも、週に一度しか湯の交換ができなかったり、その結果レジオネラ菌などの感染を防止するために塩素を投入したり、と「療養、癒し」とはかけ離れた本末転倒の温泉施設が増えていると感じているのは今や温泉関係者だけではないでしょう。

また、その反動か、露天の掛け流しこそ絶対無二、循環は全て悪、といった極端な解説をする方まで出てきて、温泉施設関係者としては、それはそれで当惑しています。(例えば、湯の質が硬い温泉を浴槽に掛け流しにすると、浴槽下部に冷たいドロドロの温泉成分が沈殿してしまい、とても冷たくて入れない湯になってしまう場合もありますし、高温湧出のため水で薄めないととても入れない湯が「加水」と評価されたり、温泉湯の適温化の循環を衛生上の循環と勘違いされたり、といったことなどです。)
温泉といっても千差万別で、それぞれに最も適正な管理手法が異なるのです。一概に、この方法が良くこの方法がだめ、といったことはいえません。

 当梅薫楼には、「露天風呂」はありません。源泉の質と効能を最も大事にしておりますので、いたずらに外気に触れさせたり、加工したくないからです。(もっとも造ったところで、猿や蛇や鹿が入って人間がないがしろにされかねない自然環境なので(笑)。)
 また、「循環装置を使っている」というと、一般的には、大浴場でお湯の交換をめったにしないで同じお湯をグルグル回しているような、悪いイメージを持たれるのかも知れません。が、そのような大きな施設にありがちなお湯(温泉)を節約するための循環装置と、湯温の最適化のための循環装置とでは、全く実状は異なるのです。
 梅薫楼の湯は、加温と衛生管理の為の循環はしていますが、同時に源泉湯を上からチョロチョロ流す源泉かけ流しも同時に行っている、いわゆる「一部掛け流し、一部循環システム」です。また、大浴場にありがちな、温泉湯を節約する為の循環ではありませんので、温泉湯も必ず毎日交換して清掃しています。使用している循環濾過装置は静岡県公衆浴場施行細則に定められた基準を満たすものです。風呂管理専任者もいて適正管理を常に心掛けていますので、レジオネラ菌などによる感染症の心配は一切ありません。まじりっけなしの本来の温泉の薬効成分を充分に堪能できます。

ただし、いくら温泉の効用が優れていても、正しい入浴の仕方を実践しないと、療養の効果も半減してしまいます。

以下では、本来の古くから伝わる温泉療法に一番近い、(社)民間活力開発機構の本「温泉療養の手帖」の、医学博士、温泉療法医の植田理彦氏の現代温泉療法学より、「正しい温泉浴を楽しむ15条」と、曙光会コンフォガーデンクリニック院長、温泉療法医の及川信哉氏の「腰痛・肩痛・関節痛の温泉療法」の2つを紹介します。
正しい温泉浴を楽しむ15条(植田理彦氏)
社団法人 民間活力開発機構
「温泉療養の手帖」
定価1800円(税込1890円)
・温泉旅行のスケジュールにゆとりをもつこと
・食後すぐの入浴は避け、60分以上過ぎてからにすること
・入浴前は60分以上の休息をとること      
・高齢者は1人ではなく2人以上で入ること
・入浴前の飲酒は避けるか、飲酒したらある程度酔いがさめてから入ること
・十分なかけ湯をすること             
・汗が流れるほどの長湯は避けること
・まず、半身浴から、次いで手足をゆったり伸ばし、浴槽の縁を枕に浮いた姿勢で入ること
・入浴中こまめに手足を動かすこと       
・入浴後は水分、湯、茶などを十分飲むこと
・温度が高いときは「3分入り、出て5分休む」を3回繰り返すとよい
・汗をかいたら乾いた衣服に着替えること    
・入浴後は静かに休息をとること
・1日の温泉入浴は多くて3回までとすること 
・車の運転のときは出発前の入浴は避けること
腰痛・肩痛・関節痛の温泉療法(及川信哉氏)
 日本人は、昔から体の節々の痛みに対し、温泉を有効に利用してきました。温泉の効果はいろいろ挙げられていますが、筋肉痛、関節痛は温泉療法の良い適応となっています。
 腰痛や肩痛は、人間にとってなかば宿命的な疾患であるといえなくもありません。人間が4本足から2本足で歩くようになったため、背骨や肩、首、腰などの筋肉に大きな負担がかかるようになってしまいました。この負担による筋肉や背骨の障害が、ある限度を超えると痛みを生じることとなります。これらがいわゆる「腰痛」「肩痛」といわれます。
 ただし、一口に腰痛といっても原因はさまざまで、中には内臓の病気で起こるものや、背骨に原因があって起こるものがあります。内臓の病気の場合は、腎臓結石や尿管結石、悪性腫瘍などが原因となって腰痛を引き起こしていることがあり、背骨の病気では、椎間板ヘルニアや骨粗鬆症、腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などによる腰痛があります。内臓にも背骨にも特別な異状がないのに起こる腰痛を、いわゆる「腰痛症」と診断します。腰痛症の原因には、悪い姿勢や太りすぎ、運動不足による筋力の低下といったことが考えられますが、その中で最も多いのは、悪い姿勢であるといわれています。  一方、肩痛ですが、これもさまざまな要因によって引き起こされます。しかし何といっても多いのは、血行不良と筋力の低下に伴う肩痛です。このほか肩痛としては、まず「五十肩」が考えられます。五十肩は関節包炎といって、関節を包んでいる膜の炎症により引き起こされます。50歳前後の人に発症しやすいためこの名前がつきましたが、ある日突然に痛みを生じ、肩を動かすことができなくなります。そのほか、変形性頚椎症、関節リウマチ、変形性肩鎖関節症、肉離れ、捻挫、肩周辺の絞扼性神経症などによって肩痛が引き起こされます。
 肩痛や腰痛、関節痛の根本的治療は困難なことが多く、現代医学では痛み止めの注射や内服薬を使用することが一般的です。しかし、これらの治療はあくまでも対症療法であり、長期間にわたって投与されるべきではありません。むしろ、体重調整や禁煙などを通じて生活習慣を改善して、症状の進行や再発を防ぐことに重点を置かなくてはなりません。
 温泉療法は温水浴のもつ鎮痛効果のため、昔から関節痛に対して積極的に利用されてきました。一般に関節痛、筋肉痛に効く温泉は、硫黄泉や食塩泉といわれていますが、筋肉の血流を改善したり、局所の保温効果を得るためなら、泉種にこだわらず広く利用することが可能です。ただし、温泉が有効とされる関節痛は一般に筋肉疲労を伴う慢性の関節痛であり、急性のものや発熱を伴うもの、悪性腫瘍を合併している場合などは、症状を悪化させることがあるため、一般には入浴禁忌となっています。例えば、俗にいう「ぎっくり腰」の場合、入浴により痛みが悪化してしまうことがありますし、42℃以上の高温浴では、痛みを誘発することがあります。
 温泉入浴は心肺にかなりの負担をかけることになるので、1日に5回も6回も入浴するのは避けてください。関節痛の際の入浴は、1日の入浴回数はせいぜい2、3回程度にし、38〜40℃のぬるめのお湯で、長め(10〜20分)に入浴しましょう。ただし、うっすらと汗をかく程度にして無理な長湯は避けてください。
 入浴中は半身浴とし、入浴途中で水分摂取を心がけ、また可能であれば、浴槽の中で軽く体を動かしてみることをお勧めします。肩を回したり、腰を左右にひねったり、痛みのため縮んでいる筋肉を十分に引き伸ばすことにより、痛みが緩和されます。また、水中での運動は、関節の負担を軽減した状態での筋力トレーニングが可能となるので、何度か繰り返し行うと筋力の増強が期待できます。